そのときは忘れたくないと思ったのに忘れてしまった、といったことは誰しも経験したことがあるでしょう。
忘れてしまうのだから必要ない、と考える人もいるかもしれませんが歳を重ねたときに振り返る思い出が少ないとさびしいものです。
では、私たちは思い出をどうつくり、どう残せばいいのでしょうか。
その方法をこの連載で10回にわけてお伝えしていく予定です。
そもそも思い出とはいったい何なのでしょうか。
「思い出づくりを考える(詳細)
」をお読みいただければ、より詳しくわかりますが、思い出とは記憶や記録を手がかりに自分がつくる「物語」です。
思い出とは人の経験に基づいて生まれるものだといえます。しかし、すべての経験が思い出になるわけではありません。自分のことを振り返ってみてください。日々を過ごしている中で私たちが経験する物事は無数にあります。その経験のうち、思い出となって残っていくものと忘れ去られていくものは何が違うのでしょうか。
それは、その思い出に「物語」があるかどうかです。
たとえば、毎朝の通勤時間が思い出になることはほとんどありません。もちろん定年後や、転職後にひとくくりで「あの頃は○○駅を使っていたなぁ」という思い出になる場合もあります。しかし、ある日の通勤風景が思い出として残るためには、「その日、ある芸能人をたまたま目撃した」といったエピソードがそこになければなりません。しかも、その記憶すら思い出として定着しないこともあります。人は忘れるからです。
しかし、そのエピソードを思い起こせる何かがあれば、その思い出が忘れ去られる確率は下がります。芸能人を目撃したという思い出も、そのときにサインをもらったり、一緒に写真を撮ったりすれば、サインや写真など物理的なものを通して、そのときのエピソードを思い出すことができます。
また、他の人にその話をすることでも思い出として定着します。他人に話すことで経験した記憶が再構築され、物語になるからです。
Vol. 25
撮りっぱなしで思い出写真をなくす前にできること
Vol. 24
人間関係を築くきっかけや、自分を見つめ直す機会となる
Vol. 23
年賀状の写真を決めるタイミングで、今年の写真を整理
Vol. 22
デジタル時代に変わり、撮影者の視線が多様化
Vol. 21
思い出を呼び起こす写真は、匂いや音が感じられるもの
Vol. 20
過去・現在・未来。思い出はそれぞれの時間をつなげる
Vol. 19
思い出を振り返るだけでなく、新しい思い出も加わる
Vol. 18
作り込んだ写真年賀状の効果を分析する実験
Vol. 17
フォトブックを作成して、自分の価値観を分析する実験
Vol. 16
昔の「気になる」写真で自分磨きのきっかけに
Vol. 15
「好き」「きらい」をテーマに撮って、これからの自分の課題を発見
Vol. 14
「撮っても選ばない」で、違いが出る個性
Vol. 13
思い出写真は、自分のことを相手に伝える近道
Vol. 12
いよいよ思い出を人生に活かす実験がスタート
Vol. 11
思い出は写真に。
写真を整理すれば未来が見えてくる
号外
震災のがれきから思い出を救う
Vol. 10
7 割の祖父母や親が
孫や子供の写真を持ち歩いている
vol.9
3人の2人が
ペットの写真を持っていない
vol.8
7割の人が家族旅行をしていない
vol.7
3人に2人が
家族写真を撮らなくなっている
vol.6
家族を安心させる遺影の作り方
vol.5
7割の人が人物写真の撮り忘れで
後悔 旅行中の写真撮影
vol.4
写真整理は3ヶ月に1回が6割
vol.3
デジタル画像保存の落とし穴
vol.2
カメラを片手に思い出を残そう
vol.1
思い出をつくる、のこす