思い出づくり研究所レポート

思い出は写真で残す

思い出は写真を撮ることや人に話すことで定着しやすくなりますが、どういう残し方だと思い起こされやすいのか、を考えてみます。
デジタルカメラやカメラつき携帯電話など思い出を残せる道具自体は飛躍的に便利になっています。さらに、ツイッターやブログなどのインターネットサービスに動画や写真を簡単に投稿できるようになり、たくさんの人に自分のできごとを一気に伝えられる時代となっています。
私たちは記録する道具も、また、それを伝える方法も多様な時代に生きています。
かえって、それらをどう選んで使えばいいかがわからないという方も多くいるのではないでしょうか。

思い出をどのような形で残しているか? (n=1,200、複数回答可) *全体を100%として算出

思い出をどのような形で残しているか?

忘れていた過去の出来事や記憶が甦るきっかけとして最も影響力があるものは? (n=1,200、複数回答可)

忘れていた過去の出来事や記憶が甦るきっかけとして最も影響力があるものは?

上の図は私たち 思い出づくり研究所が2010年4月に実施した調査結果 です。
思い出に残すために、写真の方が映像より有効と考える人が多いのです。
一見、映像の方が動き、音、話し声など多くの情報を記録しているので、思い出には有効とも考えられますが、いったいなぜ映像ではあまり思い出が思い起こされないのでしょうか。
それは、写真の持つ携帯性と物語の共有性の高さが関係しています。
写真を他人に見せたときに、そこで起こったことを話さなければ、その写真が何を意味するのか伝わりません。笑顔の写真は、他人にとってはただの笑顔の写真です。
つまり、その写真に写った思い出を伝えるためには自分の中で一度「物語を構築する」必要があるのです。
さらに、写真は携帯しやすく、すぐ人に見せやすい特性があります。ファーストフード店などで携帯に保存してある写真を見せ合って話している人は多くいますが、動画を見せ合って話している人はあまりいません。このように写真の方が、物語を話す機会も思い起こす機会も多く、思い出が定着しやすいといえます。
ここで注意しなければいけないのが、ただ写真を撮っていれば思い出として定着するわけではないことです。先ほどのファーストフード店の例でもそうですが、写真を見返すことや、それを使って話すことが重要なのです。
そこにはやはり「物語性」があるかどうかが大きくかかわってきます。
また、実際に写真をいつ撮るのか、どう保存するのか、整理するのか、によっても思い出が定着する度合いが変わってきます。