発見がオリジナリティを高めてくれる
今月の写真人 光川十洋さん
全国7万人の会員。7万通りの写真の撮り方、写真への想いがある。写真で人生を輝かせている人をピックアップする、「今月の写真人ナンバーワン」。今回はフォトインストラクター・光川十洋さんに話をうかがい、写真を撮りはじめたきっかけや、撮影術を教えてもらった。
写真人の言葉
光川十洋さん
台風一過のみなとみらいから富士山を撮影。
秋台風が過ぎた翌朝、富士山に冠雪があると予測して出かけ、この時期としては珍しい富士山に遭遇した。
キヤノンEOS5D MarkⅡ、70-300㎜、F16、1/200秒、-1EV
「富士山頂は気温が低いので、台風の雨で冠雪しているはずだと思い撮影に出かけました。その予想は的中でした」
カメラが高価で、今ほど一般的に普及していなかった時代、高校の写真部に所属していた。暗室の赤い照明の下、印画紙にモノクロの映像が浮かび上がってきたときの興奮は、今も撮影意欲の源となっている。
そんな光川さんは現在、撮影の基本にしていることが3つある。ひとつは、失敗した写真を自分で検証し、その悔しさを礎にして次の撮影に活かすこと。もうひとつは、撮影方法を思いついたらどんな写真になるのか、実際に撮影して試してみること。そして最後のひとつは、写真を通して感動を発見することだ。
羽田から香川県へ向かう旅客機内で撮影しました。日が暮れる頃、雲海の中にはっきりとした姿で富士山があらわれました。その圧倒的な存在感をおさめたくて、窓の映り込みに注意しながら、一心不乱にシャッターを切りました。明日へのパワーが湧いてくる「霊峰」としての富士山を撮ることができました。
ニコンF6、70-200㎜、山梨県上空、2007.9、UV
『富士山を撮る ココがベストスポット276』 (日経ショナル ジオグラフィック社)より
有終の美を飾る
今月の写真人 中道慶一
PCC会員からたくさん寄せられる、季節の写真の数々。プロとはひと味ちがう技が光る作品をピックアップするのが「今月のいぶし銀」です。
今月は、フォトインストラクター・中道慶一さんにスポットを当て、写真を撮りはじめたきっかけや、講師としての心がけをうかがいました。
中道慶一さん
現在は、PCCフォトインストラクター認定を受け、写真教室の講師をつとめています。激動のデジタルカメラ時代にもかかわらず、熟年の生徒さんのカメラ熱は高く、そして女性の受講生が増えたことも喜ばしく感じます。普段は特にテーマを意識せず、「被写体はどこにでもある」と思い、撮影しています。身近なものから旅行、風景、祭り、花、移りゆく季節の情景など何でも被写体になるでしょう。写真を撮るときは、主題となる被写体を中心にフレーミングしてから、カメラのポジション、アングル、光線の状態を見極めて構図を決定。特にスナップ写真では、シャッターチャンスを逃さないように気をつけています。
写真は楽しみながらやっていくものであり、そこから生まれる個性の表現でもあります。このことを講座を通して多くの人達と共有することを心がけています。
今後も、受講生の熱意を高め、写真を楽しんでもらえるように教えていきたいと思います。
「晩秋の景」
「錦秋の茶処」
北海道を旅行中に、出会ったキタキツネです。撮影した場所は、建物など人工物もあるところでしたが、偶然ひょっこりあらわれたキタキツネを逃すまいと素早くフレーミングし、人工物が写らないように調整しました。朝日の温かい斜光が、毛並や雪の形を浮かび上がらせ、厳しい冬のなかに、温もりが感じられる作品になりました。
ソニーα350、F4.5、1/400秒、北海道、2.21(8:18)
「カメラのキタムラ フォトコンテス2010秋冬」より