「ゆるかわ」な夏の撮り方
ナビゲーター:きょん♪さん
私が夏の海に出かけるのは、決まって太陽がぎらぎらと照りつけはじめる数時間前。自宅から自転草に乗って30分、まだ波も穏やかで海水浴容の姿もまばらな朝の海です。
カメラを構えるより先に、まず浜辺に腰を下ろして夏の匂いをいっぱい吸い込みながら、海を見つめるのが自分の中のお約束。この作品はそんなある朝、地元の海で見つけた夏のワンシーンを切り撮ったものです。
ひとりの小さな女の子が、落ちていた空き瓶を持ってきて、砂団子をつくつて遊びはじめました。さらさらと波が引いてできた水たまり。空の青さを映して優しくささやきかけてくるようでした。女の子の手首にぶら下がっている鮮やかなペパーミントグリーンのリストバンド、瓶の透明感と赤いラベルに、なぜだか少し傍い思いを抱きました。
そんな気持ちを写真に残したくて、画面全体がさわやかな薄いブルーになるように、ローアングルでパチリ。海、空、瓶の透明感を素直に表現しています。夏の写真は、光と影のコントラストを強詞した作品をよく見かけますが、私は、昼寝をした後のまどろみや、朝の安らかな海を夏の写真で表現します。
もしかしたら私は、自分の記憶の彼方にある夏を探し求めて撮っているのかもしれません。
きょん♪
「ゆるかわ」な桜の撮り方
ナビゲーター:きょん♪さん
今年も春がやってきました。わたしにとって、色に飢えていた冬がようやく終わり、毎日でも花の撮影に出かけたくなる季節。みんなが重いコートを脱いで、ほんわかとした人とのつながりが活発になる、そんなイメージがあります。一方で、移りかわる空気感を少し切なく思う季節でもあり、わたし的には、可憐に咲き誇る桜もいいけれど、散って地面に落ちた花びらたちに感情移入しがちです(笑)。
この作品は、透けたような桜の花びらを見て、わたしの中の「ほわほわ」感が引き出されて撮影したもの。桜の淡いピンク色を前ボケでグラデーションさせ、さらに明るめの露出で「ふんわり」感を表現しました。手前の桜をあえてぼかしたことで、ピントを合わせた部分の桜は、こっそりのぞいている、そんな雰囲気を感じられるようにしています。
普通なら、手前の花びらにピントを合わせて撮ることが多いと思います。でも、しかしそれでは、どうしても枝のゴツゴツした質感が写ってしまい、幻想的な世界を表現する「ゆるかわ写真」になりにくいのです。
桜はそれだけでかわいい花です。次に桜を撮りにいくときは、どんな表現ができるのかなぁ。自分でもわからないところが、また「ゆるかわ写真」のおもしろさでもあったりします。
きょん♪
「ゆるかわ」な朝写真の撮り方
ナビゲーター:きょん♪さん
「あっ、木の枝にすずめがなっている」。思わずパチリ。この時シャッターを押したのは、ふとそんな風に思ったから。私の写真は、日常のありふれた風景のなかに見え隠れする「かわいい」や「素敵」を見つけ出した時の気持ちを、素直に写したものばかりです。たとえブレていもピンボケしていも、自分が心地よく感じられたら、それでOK。被写体に少しでも心の針が振れたときの感情をそのまま写し込みたい、そんな思いを大切にして撮影しています。
たとえば朝。私にはなんとなく青っぽいイメージがあります。そのイメージを中心に撮影開始。露出は高めにし、ホワイトバランスを調整。コントラストは下げて彩度を上げます。ピントも合わせたり合わせなかったり。まだ少しボーっとしている体の状態を表現できれば、成功です。
データはあまり気にしません。カメラ機能の設定に、あくせくしたくないんです。 カメラは、オリンパスのペンE-P3。アスペクト比が選べて、アートフィルター機能がついているところが、とても気に入ってます。スクエアな画像は、画面に写る情報量が少ない分、3:2の写真では出せない、ゆるさを表現できるようで、私の作風にピッタリです。
また、アートフィルターのライトトーンは、私にとって魔法の眼鏡。明暗差がフラットになるので、ふわっと感を出すのに、なくてはならない機能です。このカメラに出会っていなければ、「ゆるかわ写真」も、きっと生まれてこなかった、そんな思いを持って、今日も撮影に出かけます。
きょん♪