カメラとわたし

ライカ使いの写真家も
満足のカメラとアイテム

Vol.9 内田ユキオ

徹底的なこだわりを持ち、納得がいったモノしか使わない内田ユキオさん。今年2月に発売され、愛用しているという X100Sについて語っていただきました。

"他人と同じ"は絶対に嫌なんです!

ライカ使いの写真家として知られている内田ユキオさんは、モノに対するこだわりが人一倍強くあるそうです。たとえばカバンも、普通のカメラバッグではなく、若者に人気のおしゃれなアウトドアバッグを使用。
モノに対する徹底的なこだわりは、映画の一シーンを切り取ったかのような、内田さんの写真世界に通じるものがあると感じずにはいられません。
「なぜかと言われれば、他人と同じは嫌だから……(笑)。やっぱりみんなと違うモノを持ちたいんです。しかも見てください。このカバンには、エリオット・アーウィットの直筆サインが描かれているんですよ!  これ、僕の密かな自慢です」

いちばんの魅力は、 カメラ然としたたたずまい

そんな内田さんが今、肌身離さず持ち歩き、かわいがっているカメラがあります。それは「FUJIFILM X100S」。Xシリーズの原点であるX100から更に進化し、高速レスポンスでスナップ撮影も快適にできるこのカメラのいちばんの魅力は……。
「いかにもカメラ然としたたたずまいですね。誰が見てもカメラだってわかることの意味って、すごく大きいんですよ。『撮影するぞ』という気持ちが無言で相手に伝わりますからね。そしてこの手頃なサイズも最高です」 道具としての信頼性に重きを置きながら、所有することの喜びをも満足させた「X100S」。ライカを知り尽くした内田さんが認めたように、このカメラは長きにわたって愛される、時代を超越したロングセラー機になりそうですね。

内田ユキオさんがアムステルダムで撮影 FUJIFILM X100S、F8、1/320秒、ベルビアモード

オシャレも楽しむ、内田ユキオさんの必携アイテム

世界にひとつだけのストラップ

某メーカーが内田さんのためだけにつくってくれた一品。身長187cmの内田さんがカメラを〝たすき掛け〟するには最低でも120cmの長さが必要です。しかし、コードバンと呼ばれる馬のお尻の皮はとても貴重でで、どうしても長さが足りず、カメラを〝首掛け〟しているのだとか。
写真家 エリオット・アーウィットの直筆サイン入りバッグと携帯音楽プレーヤー

Bradyというブランドのアウトドアバッグのポケットには尊敬するエリオット•アーウィットのサイン。そのバッグから出てきたのは、スケジュール帳と、アイデアを書くためのメモ帳、そして携帯音楽プレーヤーです。内田さんにとって音楽は、創作と切り離せない必需品。撮影の合間、下付ぇで大好きな音楽を聴いてくつろいでいると、作品づくりのアイデアがふつふつとわいてくるそうです。
おしゃれでかっこいいカメラ

ライカ使いの内田ユキオさんを魅了した、クラシカルでモダンな「X100S」のダイヤルオペレーション。おしゃれでかっこいい外観は、撮る喜びはもちろんのこと、所有する喜びをも与えてくれます。

撮影は体力が勝負。そのためジムに通って体を鍛えています

「撮影に出かけるとき、僕は最小限のモノしか持ち歩きません。できればカバンも持たずに、手ぶらがベスト。撮影で10kmくらい歩くので、荷物が多いとどうしても疲れてテンションが落ちてしまいます。僕が好きな写真家•ブレッソンの言葉に『カメラよりも靴のほうが大事』という名言があるように、撮影は体力が勝負。僕が今、週2〜3のペースでスポーツジムに通って体を鍛えているのは、別にボディービルダーに憧れているからじゃないんですよ(笑)」

内田ユキオさんが語る、FUJIFILM X100Sの魅力

ここがいい!1
「シャッター音」
「テーブルの上に静かにモノを置くときのような、『コトン』というシャッター音がいいですね。最近はシャッター音がしないカメラがあるけど、音がしたほうが撮ったという気持ちにさせてくれます」

ここがいい!2
「レンズの性能」
「収差補正などもできるようになり、レンズの性能はさらによくなりましたね。35mm判換算で35mmという焦点距離も、個人的にはいちばん扱いやすいと思います」

内田ユキオ(うちだ•ゆきお)

新潟県両津市(現在の佐渡市)出身。公務員を経てフリーに。タレントなどの撮影のかたわら、モノクロでのスナップに定評があり、ニコンサロン、富士フィルムフォトサロンなどで個展を開催。主な著書は「ライカとモノクロの日々」「いつもカメラが」。現在は写真教室の講師も務める。自称「最後の文系写真家」。

Vol.8 杉本恭子

カメラとわたし

「写真は写心」。
オシャレを楽しんでいい写真を撮ろう

Vol.8 杉本恭子

「素敵な写真を撮るためには、気持ちが一番大切」だと語る杉本さん。撮影の前日は、鏡の前に立って「何を着ていこうかな」と考えるそうです。

道具やカッコから入ったっていい

「写真は楽しいものなんだもの。道具やカッコから入ったっていいじゃない!」と杉本さんはいいます。たとえば、撮影に出かけるときのファッション。もちろん機能性を考えて選んでいますが、杉本さんは色やデザインにもこだわりを持っています。
「以前は単色ばかりでしたが、最近は山ガールの影響もあって、カメラマン用のウェアも女性向きのカラフルなものが出てきています。『写真は写心』。撮影する人がオシャレを楽しんでシャッターを押せば、いい写真が撮れると思いませんか?」
お気に入りのファッションで出かける撮影旅行。カラフルな衣服に身を包んで心が浮き立てば、いつも以上の傑作が撮れるかもしれません。

フリーザーバッグが雨天撮影用アイテムに

杉本さんが撮影用リュックから取り出したのは、食品を冷凍保存するときに利用する「フリーザーバッグ」。でも、よく見ると底に穴が開いています。
「雨の日はカメラを濡らさないように撮影しなければなりません。特に注意したいのは、アクセサリーシューの付いたカメラの上部。雨天用のグッズはいろいろ売られていますが、実はこれが一番便利なんですよ!」
フリーザーバッグの底に切れ目を入れたのは、カメラのレンズを通すため。なるほど、これでカメラをすっぽりと包み込めば、カメラが雨に濡れる心配はありません。しかもチャックの開閉がワンタッチだから、ファインダーやモニター部分だけを外に出せば、すぐに撮影できます。
「男性には思いつかない、女性ならではのアイデアですね」と感想を述べると、杉本さんは少女のような笑みを浮かべて「カメラの冷凍保存にも向いていますしね」とさりげなく冗談を言うのでした。

長野県阿智村にある「伍和の里」の桜

オシャレも楽しむ、杉本恭子さんの必携アイテム

帽子

杉本さんの帽子コレクションの一部。旅先でお気に入りのものを見つけると、つい買ってしまうとか。リボンやテープを巻いてアレンジすることもあります。
発電式LEDライト

防災用グッズとして売られていた発電式懐中電灯。山道で足下を明るく照らしたり、薄暗い場所でレンズを交換する際に役立ちます。
フリーザーバッグ

本文中でも紹介したフリーザーバッグ。雨天撮影用のグッズはいろいろ発売されていますが、杉本さんいわく「これが一番便利!」だとか。

土地を好きになれば、風景がより美しく感じられる

「写真撮影に出かけたら、私はできるだけ地元の人と交流の機会をもち、おいしいものを食べ、おいしいお酒を飲むようにしています。その土地を好きになって愛着を持てば、風景がより美しく感じられると思うからです。常日頃、私が口にしていることは『写真は写心』。“ありがとう”という気持ちを抱いて、同じ土地に何度も通えば、皆さんもきっといい写真が撮れますよ」

撮影機材&持ち物リスト

【カメラボディ】
キヤノンEOS 5D MarkⅢ
キヤノンEOS M


【交換レンズ】
EF24-105mm F4L IS USM
EF28-135mm F3.5-5.6 IS USM
EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM
EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM
EF100mm F2.8 マクロ USM
EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM
EF-M22㎜ F2 STM

【その他】
C-PLフィルター、NDフィルター、三脚、リモートスイッチ、予備電池

杉本恭子(すぎもと・きょうこ)

東京生まれ。1997年に入塾した竹内敏信氏の中央工学校新風景写真塾を経て、2004年フリーランスに。長野県阿智村、阿南町の地域おこしなどに携わる。現在、東京や名古屋を中心に写真教室や撮影会を精力的におこなっている。個展、著書多数。公益社団法人 日本写真家協会会員。公益社団法人 日本写真協会会員。NPO法人 日本写真療法家協会理事。

Vol.6 徳光ゆかり

カメラとわたし

撮影モードは”こころ優先”が基本

Vol.6 徳光ゆかり

"こころ優先"の写真を大切にする写真家・徳光ゆかりさん。機材をできるだけコンパクトにして風のような気分で身軽に撮影を楽しむための心構えをうかがいました。

”こころの針”がふれたときに撮る

徳光さんの撮影モットーは、"こころ優先"。何をどう撮りたいかという自分の気持ちが基本になります。

「撮影はカメラを構えたときの気持ち、つまり、何をどう表現したいかによってアングル、絞りなどが決まります。それはフィルムでも、デジタルでも同じ。どこで何を撮ればいいのかと悩むのではなく、こころの針がふれたときに自由に撮ればいいんです」

徳光さんの写真教室で生徒に教えているのは、自分が感じたものを写真で表現するための心構え。テンポよく語られる写真哲学は、写真を撮る喜びを再度気づかせてくれます。

カメラはすばやく自然体で構えたい

徳光さんが愛用しているカメラは、フジフイルムX-Pro1。高い解像度や操作性など注目すべき点が多いカメラです。徳光さんが気に入っているのは、レンズを交換すると、カメラがレンズの焦点距離を自動的に判断し、ファインダー倍率を切りかえてくれる「ハイブリットマルチビューファインダー」機能。

「ミラーレスであるにもかかわらず、一眼レフと同じように、ピントやボケの状態をファインダーで確認しながら撮影できるのがいいですね。また、レンジファインダー風の外観と、小さなバッグにも収まる大きさもちょうどいい。街で写真を撮るときは、周囲の邪魔にならないようにサッとカメラを構えたいですからね」

徳光さんはそう言うと、X-Pro1を手に、街へ撮影に向かいました。その姿はさわやかな秋の風のようでした。

「紅葉に祈る」

”こころで撮る、徳光ゆかりさんの必携アイテム”

液晶モニター用フード

液晶モニターでの画像の確認は、どうしても見づらいもの。視力の悪い人にとってはなおさらです。とくに日差しの強い屋外での色や明るさ、ピントの確認は困難を極めます。そこで便利なのが、拡大鏡のついた液晶モニター用フード。これがあれば、その場で確認して次の1枚をどう撮るか決めることができますね。
自分流にアレンジしたカメラケースなど

人気製品を使用していると、ケースなども人と同じになり、撮影会などで区別がつきづらくなります。そこで考えたのが、徳光さん流のちょっとしたアレンジ。カメラケースの紐を、ペルーの友人が編んだカラフルな紐に付け替えることで、自分仕様にしたそうです。また、カメラバッグのなかの小物も、好きな柄で統一。ちなみに江戸時代の判じ絵「かまわぬ」は徳光さんのお気に入りです。
収納力抜群のショルダーバッグ

カメラが3つも収納されているとは思えないサイズ。海外の撮影旅行も小さな鞄で身軽にいくそうです。ポケットのなかからカメラをすぐに取り出せるように、ジャケットを着用して撮影することもあります。

撮影したら選んでプリントする

「カメラがデジタルになって1番大きくかわったのは、枚数を気にせずに撮影できるようになったこと。しかし、撮ったままにしておいては写真が上手になりません。画像はプリントしてはじめて写真になるので、選定をしてプリントすることをすすめています。1枚1枚の写真を大切に撮り、プリントすることが写真上達の近道になります。無尽蔵にシャッターを切らず。"こころ"で感じた写真を撮りましょう。また、プリントした自分の写真をフォトブックとして作品に残すのもいいですね。季節ごと、テーマごとに写真をまとめてみると、自分の長所や短所がよくわかります。ステップアップのために、成長記録としてフォトブックを作ってみましょう。」

撮影機材&持ち物リスト

【カメラボディ】
フジフイルム X-Pro1、
フジフイルム X10、
フジフイルム KLASSE W

【交換レンズ】
XF18mmF2 R、
XF35mmF1.4 R、
XF60mmF2.4 R Macro
【その他】 ミニ三脚、予備電池、扇子とハンドタオル(写真教室などで話すときは温度調整のため年中必須)

愛用のフジフイルム X-Pro1と交換レンズ


徳光さん愛用のフィルムカメラ、フジフイルムKLASSE Wの話も盛り上がりました

7月中旬、都内の閑静な住宅街のなかにある徳光ゆかりさんの事務所で取材をしました。事前に住所をうかがい、準備万端で向かったはずが、たどり着けない編集部一同。何度も同じ場所を歩きまわる私たちを徳光さんが偶然発見してくれ、なんとか事務所へお邪魔することができました。まわりの住宅とは少しちがったおしゃれな建物。「5人も部屋に入らないよ」と言いながらも、明るい笑顔で編集部一同を迎えてくださいました。 部屋に入ってまず目に付いたのが、きれいなショーケースに飾られているミニカー。「カメラもそうだけど、メカニックなものがなんだかんだ好きなんだろうね」とお気に入りの車をみせてくれました。

ベルギーの撮影旅行から先日帰ってきたばかりだという徳光さん。そんな様子は感じさせず、ペルーやベルギーでの撮影旅行や徳光さんが毎月実施している「東京ぶらり・808」の様子を写真を見ながら、うかがうことができました。 たくさんのお話をうかがったあとは、徳光さんの全身写真の撮影。いくら涼しい部屋のなかだといっても、気温が30度近い夏日。しかし、秋号にのせるための取材だったため「長袖を着てください」と無茶なお願いをしました。徳光さんは、「暑い」「いつもこんな感じだったかな」といいながら、ここでも明るい笑顔で応じてくださいました。

帰り際に玄関先まで見送ってくださった徳光さん。「また来てね」と言ってくださるあたたかさに癒されながら、まだ暑い日差しのなか帰路につきました。

徳光ゆかり(とくみつ・ゆかり)

大分県別府市生まれ。日本写真映像専門学校芸術学部卒業。西部毎日広告社制作局カメラマンを経て、フリーランスに。

写真教室を開催する傍ら、東京、ペルー、ベルギー、チュニジアなどの撮影をライフワークとしている。PCCでPCCフォトインストラクター養成ディレクターとしても活躍。撮影会「東京ぶらり撮り・808」を毎月実施中。

 

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