千尋の「タビフォト」

被写体と共に気持ちを写す

 

モロッコ到着3日目。
朝、気持ちよく目覚めた私は、窓の隙間からうっすらと差し込む陽の光に目を向けました。
「間違いなく快晴だ。」
鍵を外し、両手で一気に扉を開くと、そこからは青い空と、
きちんと手入れされた広場が目に飛び込んできました。

ここは、リフ山脈麓に位置する小さな町ティトゥアン。
前日、夕方を待たず、モロッコ最北端の町タンジェより南東へ約60km移動してきました。
宿はムーレイ・メフディ広場向かいの銀行の4階にあります。その朝見た景色は、
この町に到着した前夜に見た景色とはまったく違う雰囲気。
窓から広場を見下ろし、行き交う人々や遠くに見える山脈、
その麓に広がる白い建物などを一通り眺め、始まったばかりの今日に、
何か素敵なことがあるかもしれないと期待をしていたのを覚えています。

この写真は、その気持ちを思い出させてくれる一枚。
シャッターを切った瞬間、この景色と共に自分の気持ちも心に刻んだのです。
だからこの写真を見る度、そう自然に思い起こすのは当たり前なのです。

「今日も快晴だ。元気よく『おはよう!』と声を掛けた。
宿主のおばさんが手のひらを合わせ、片耳にあてている。あぁ、そうゆうことか。
『よく眠れたよ!』親指を立てて返事をした。さぁ、今日も探検しよう!」(旅日記より)

カッコイイ写真を撮ろうとしなくていいのです。
キレイな写真を撮ろうとしなくていいのです。
肩に力を入れず、あくまで自然に。
自分が目にしたものを、そのままのアングルで写真に収めてみてください。
素直な気持ちで、シャッターを切ってください。
そしてシャッターを切るその瞬間、仕上げに自分の思いを添えることを意識してみてください。
今、そこにいる自分、今、感じる気持ちが確かにそこに存在する証として。
見返れば、いつでも心はその時の気持ちに戻る、そんな写真を撮っていきましょう!

 

小島千尋

PCC女子部のメンバー。旅をすること、写真を撮ることが大好きなカメラ女子。カメラのキタムラ フォトコンテスト2011 旅部門グランプリ、同コンテスト2012 自由部門入選、ペット部門佳作、第60回ニッコールフォトコンテストU-31部門 推選 受賞。2012年には写真展「Morocco ~探し求めた場所へ~」を開催。

感動は自分で会いに行く

千尋の「タビフォト」

感動は自分で会いに行く

モロッコ到着1日目。
空港から列車でカサブランカ市内へ、そこからはプチタクシーを使い、市内バスターミナルへ。
休む間もなく私は、長距離バスに揺られること7時間掛けてモロッコ最北端の町タンジェへ向かいました。

タンジェは、北にスペインを臨める場所。そのせいか、元々フランス領であってもアラビア語の次に通じる言葉はスペイン語です。町に点々とあるレストランも、スペイン料理が目立ちました。

ふと、頭の中に世界地図を広げ、自分が今、どこにいるのかを考える瞬間。私は地球上にいることを改めて感じることができます。世界が少しだけ近くに感じる瞬間です。それを意識してか、町を散策する足は、少しばかり大地を踏みしめ確かめている感じ。

世界地図には書かれていない場所。
世界史には記されていない、今という瞬間。
誰の旅物語にも登場しない人々。

自分の目で、一つ一つ確かめる。
自分の心で、一つ一つ丁寧に感じて、一日を過ごす。
そんな旅が、私の理想なのです。

ガイドブックに載っている写真、それを見るだけで満足ですか?困ったことに、私は満足できないのです。
自分の目で確かめたい。だから、そこに行くのです。今回の写真「ヘラクレスの洞穴」も「スパルテル岬」も、自分の目で見て、はじめて「見た」と感じることができました。
やはり、自分の足で見に行った景色ほど、出会った瞬間の感動は大きいものなのです。

「良く晴れた青い空に、清潔感ある白い建物。ホテルから港近くをゆったり歩き、そのままの足で町の中心となる広場グラン・ソッコへ。やっとのことで捕まえたグランドタクシーに乗り、向かう先は郊外にあるヘラクレスの洞穴とスパルテル岬。観光客は、誰一人いない。今一人、私だけが見ている。だから今見ているこの景色は、私だけのもの!―(省略)―タンジェで見上げた空はどこまでも青く、海もまたその地平線の先まで青は続いていた。」
(旅日記より)

自分の足で、感動に出会いに行っていますか?
感動は待つものではありません。自分の足で会いに行きましょう!
そして目の当りにした最高の景色を、是非カメラに収めましょう!自分のためでもいいし、誰かに見せてあげるためでもいい。その瞬間は、二度とありません。その時、その瞬間を切り取ることができるのは、その時その場にいるあなただけなのです。

旅先で自分の気持ちと向き合う

千尋の「タビフォト」

旅先で自分の気持ちと向き合う

見たい景色がある
出会いたい人がいる
感じたい気持ちがある


17歳で初めて海外に行き、「自分が普段目にしているものが全てではない」と知った世界。
それから世界に旅立つようになり、もう10年経ちます。

私の目に映るすべてが私の旅を作ってくれている。
そう、同じ国を旅しても、撮る写真はそれぞれ。人の数だけ旅が存在します。だからこそ、その人にしか撮れない写真がたくさんあると思います。

旅の醍醐味は、なんといっても自分の感動や驚きではないでしょうか。
自分がシャッターを切った瞬間の、その感動や驚きを周りの人に伝えられたら、楽しいですよね?

私の旅写真の極意は「自分の視線を写す」です。
自分が今、ここで見ている。
その視線がオリジナリティーを強くしてくれます。

この写真は、2012年4月から現地約20日間に渡って一人旅したモロッコで撮影した写真です。
カサブランカ空港に到着し、市内に向かう列車が到着した瞬間を撮った一枚です。

列車を撮りたかったのではありません。人を撮りたかったわけでもありません。この空気、ドアに群がる人々の熱気と、それを少し遠くから観察しながら、いよいよここから旅が始まるんだという心構えをしてる自分を撮りたかったのです。

「無造作に渡された切符を片手に握りしめ、ホームで列車を待つこと約1時間。開いたドアの前にはたくさんの人でごった返し、誰もが座席確保に専念する瞬間。それは日本で見る光景と全く変わらない。
アラビア語が飛び交う列車の中。顔つきがまったく違う辺境の地で、私は一人、いよいよ旅がはじまったんだと実感していた。」(旅日記より)

あなたは今、何を見ていますか?
何を感じていますか?

シャッターを切ろうとした、その瞬間の気持ちに向き合ってみてください。
自分が撮ろうとした「何か」がきっと見つかるはず。

さあ、旅先で出会った気持ちを、是非自分なりの視点で表現していきましょう!

小島千尋

PCC女子部のメンバー。旅をすること、写真を撮ることが大好きなカメラ女子。カメラのキタムラ フォトコンテスト2011 旅部門グランプリ、同コンテスト2012 自由部門入選、ペット部門佳作、第60回ニッコールフォトコンテストU-31部門 推選 受賞。2012年には写真展「Morocco ~探し求めた場所へ~」を開催。

 

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